★9.5

はつゆきさくら(SAGA PLANETS)


もう15年以上エロゲやってきて、数えるほどしか無い私的ホール・オブ・フェイムなエロゲのひとつです。世間での評価は知らないけど、個人的に(同人を除けば)2010年代エロゲの最高傑作。徹頭徹尾どこまでも楽しすぎる。おかしくなるほど好き。というわけで、無駄に熱く語ります。

はつゆきさくら
はつゆきさくら


ともかく日常シーンが面白すぎる。そしてヒロインたちが最高に可愛い。俺がプレイしたエロゲで一番可愛いヒロインたちだったかもしれない。

そして、主人公がめっちゃくちゃ面白い。ランスを除けばもう2010年代には絶滅したかと思われていた俺様主人公である。うん、この主人公はいいなあ!見ていて実に気持ちがいい。大昔のエロゲの主人公みたいなSっ気の強いタイプで、オッサンはすごく懐かしい気持ちになって遊んでたな。

この手のADV紙芝居ゲームって、主人公に共感・同調できるほど話に感情移入できるからすごく楽しめる。このゲームのポイント高かったところ。

古き良き俺様主人公

ともかく前述の通り主人公にすごく共感できたのが良かった。ヤンキー漫画や少女漫画によくある「不良っぽいけど実は良い奴」の典型かな。ちょっとKEYっぽい。特に「ONE」「CLANNAD」の主人公に似ているな、と思った。(まあ、このゲーム、KEYっぽいのは主人公だけじゃないが)由緒正しき古き良き「主人公」って感じがする。

受け身じゃないのがいいんだよね。ツッコミも冴えているし、ヒロインをイジったりシモネタを言ってからかったりするのが、結果的に彼女たちの魅力を引き出していると思う。おかげでどうでも良いような日常シーンもすべて面白い。

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また、他人に興味なさそうなフリしてるくせにめっちゃ質問して相手のこと聞き出すのな。会話中に疑問や不満をちゃんと相手にぶつけてくれるから、プレイヤーが置いてけぼりになることもない。行動力もあるし、一度仲良くなったら遠慮なくヒロインを誘ったりして、能動的にガンガン動くから見ていて気持ちがいい。誰に対しても遠慮のない物言いをするのもスカッとする。

こんなキャラしてるくせに見た目は中性的な美少年風なんだからな、こいつは確かにモテるだろう。

※昨今のエロゲは(って言うほどやってないけど)総じて主人公が受け身すぎないか?紙芝居ADVってただでさえ読むだけで退屈なんだから、主人公が自分からガンガン動いて話を盛り上げないと物語なんて面白くならないんだぞ。

可愛らしいヒロインズ

で、前述のとおりヒロインはみな超絶かわいい。かわいすぎる。めっちゃニヤニヤしながらプレイしてしまったよ。

さっきも書いたけど、このゲーム主人公がヒロインをどんどんイジっていくことでいろんな反応を引き出して、ヒロインたちの魅力を高めているんだよね。あずま夜なんかそれが顕著だ。このスタイルはとっても良いと思うな。「どこにでもいる平凡な青年」みたいな主人公には絶対できない芸当だ。

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ってか、シロクマと「だぜ」以外の3人はわりかしありがちなヒロインなんじゃないか。彼女たちの魅力は、この主人公あってこそだと思う。

特に好きなのは小坂井綾。数多くのエロゲをやってきたけれども、小坂井綾はベスト3に入るくらい好きなヒロイン。主人公の良き理解者であり甘やかせヒロインでもある。クール系で愛情たっぷりのヒロインってたまらん。強そうに見えてけっこう脆い、そしてそれを自覚しているのもいい。悶え死ぬ。


エロゲではよくある奇跡っぽい話

ストーリーは……エロゲではよくある「ぼんやりした奇跡」&「ライトファンタジー」な話。ふわーっとした世界観で、ぼやーっとした説明がされて、さらーっと奇跡みたいなことが起きて、なんかよくわからないけど人が消えて……という。さすがにこの手の話はもう慣れましたね。


この手のぼんやりしたセカイ系の話を受け入れられるかどうかは「キャラを好きになれるかどうか」で決まると思うんだけど、そこは日常会話での主人公&ヒロインズの面白さが生きている。さんざん笑わされて心がゆるんだところにスッと入り込んでくる悲しい物語。

ただ悲しいだけだと感情移入しにくい。笑わせて笑わせて一気にオトすことで泣けるわけだ。この人間の心理を一番わかっているKEY作品ほどではないにせよ、日常会話のボケっぷりとシリアスなシーンとのギャップが活きていると思うな。

このやりきれない葛藤が青春の証


あと、このゲームにはすごい「青春」を感じたんだよ。学園ものって無数にあるけど、これほど「青春してるなあ」と思ったゲームは後にも先にもない。

「青春もの」っていうと爽やかで明るくて胸がときめく物語を思い浮かべる人が多いと思うんだけど、俺にとっては青春てのはひたすら悶々と肥大していく自我と向き合い、理想と現実のギャップに葛藤していくような時間だったり、自分の人生が自分の力や自分の意志ではどうにもならないと知って無力さを噛みしめながらもそれに必死に抵抗する時期のことなんだ。

自分の中にある淀んでいるものと戦うのが青春なんだよ。青春なんて重苦しいもんなんだよ(笑)。そのろくなもんじゃない青春時代に、それぞれ葛藤している姿がこのゲームの登場人物たちには共通して存在している。若者らしいじゃないか。なんかとっても胸にしみいる。

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「押しつけられた価値観に対する抵抗」ってのがテーマの一つだとと思っている。反抗期の時代に遊んだらさらに楽しめそうな内容。10代の頃に遊びたかった。

小坂井綾シナリオの主人公、あずま夜のシナリオ、それに東雲兄や4バカあたりは全体的に「青春してんなー」って思ったね。羨ましいなあ。4バカの話はもうちょっと読みたかった気がする。4バカも本当にバカで大好きだなあ。

おまけ

※エロは特に言うこと無い。まあこんなもんでしょ。声もCGも可愛いから見ているぶんには楽しいエロ。

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東雲兄のキャラがかなり好きだ。冷静なインテリタイプかと思いきや、ものすごいド直球の熱血バカであった。妹もバカだが、作中で一番のバカはこいつだと思う。大好き。


※他で感想を読んだらシロクマの話がイマイチという感想があった。プレイしたときは特に思わなかったんだけど、完全にバッドエンドなので、言われてみれば確かにそうかもしれない。

シロクマいじめいじりがあまりにも楽しすぎて、それだけで満足してしまったんであまり深く考えなかったけど。このルート主人公が他のルートで自分が言っていることを否定してしまっている気がするものね。でもシロクマは可愛い。もっといじめイジりたかった。あややとの3Pも見たかったぞ。


※主題歌のHesitation Snowはエロゲ屈指の名曲と思う。「メリーゴーラウンドをぶっ壊せ」もいかにも学生バンドが作りそうな曲でとっても良い。歌詞はおそらく竹田直子が書いたんだろう。10代の女子っぽい攻撃的かつロマンチックで素敵な歌詞。


※EDで学校の木のところでラン(?)と話すところが一番感動した。


はつゆきさくら
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